太田四つ角の道しるべの阿弥陀さま  尾田武雄

太田四つ角の道しるべの阿弥陀如来さま

日本石仏協会理事岡村庄造氏 の拓本

                                   尾田武雄

 砺波太田の中心部に通称「太田の四つ角」がある。南北に現在の庄川と旧庄川の流路であった千保川の中にある旧道が中筋往来である。これは商都高岡と井波別院瑞泉寺(真宗大谷派)井波町を結ぶ重要な旧道であった。また東西は砺波市の中心である出町と富山市を結ぶ路線でこれも貴重な道である。この路線は旧国道369号でもあり、現在は金沢市と富山市を結ぶ最短距離の重要な道路でもある。この両旧道に交わるところがこの四つ角である。

 その角に小堂があり、中央に浮彫の阿弥陀如来坐像が鎮座している。砺波地方は真宗王国であるが、この太田地区は高野山真言宗千光寺の檀家の多いところであるが、しかし真宗門徒は四分の三以上の割合であろう。お堂にはほかにやはり浮彫の阿弥陀如来立像もある。高知市の日本石仏協会理事岡村庄造氏がこの石仏の拓本採りに来られた。きれいな採拓で岡村氏の人柄が感じられる。ほか近くの石仏をご案内したが、砺波の石仏はやさしく、おだやかですねとは岡村氏の談話が心に残っている。

 さてこの石仏の、銘文もしっかり読める「東ふなば 西でまち 下高岡 上井波」とある。交通の安全を願って造像されたのであろう。旧道を歩く人々の道しるべとして親しまれたのであろう。また「東ふなば」とあるのは、現庄川の太田橋付近にあった、渡し舟の舟場があったところを指している。何気なく長く安置されている石仏であるが、じっくり拝見することで実に雄弁に語りかけておられるような気がする。

道しるべの阿弥陀さま

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